Vol. 8  Appleが医療の本丸へサービス投入(2) ~ ケアキット(Carekit)はビジネスとして立ち上がっていくのか ~ 


Vol.7でAppleが患者の自己管理用のプラットフォームの開始について前回のメドなびで書いた。(Appleが医療の本丸へサービス投入 ~ ケアキット(CareKit)で患者の自己管理 ~)ヘルスキット(HealthKit)、リサーチキット(ResearchKit)との関連やケアキット(CareKit)の概要などはこちらを参照頂きたい。CareKit

さて、アナウンスから約2ヶ月経ち、このオープンソースのプラットフォームを活用した具体的なサービスが徐々に形を現してきた。
①グローベイビー(Glow Baby)/②グローナーチャー(Glow Nurture):このアプリは妊娠出産から1歳までの成長の記録をトラッキングできる。ユーザー(お母さん)は、赤ちゃんの成長を産婦人科の医師や助産師、或は登録された家族達と共有することができる。

③ワンドロップ(One Drop):糖尿病患者が簡単に血糖値などのデータ管理を可能とする。また、空腹感、めまい等の症状も記録、トラッキングすることができ、それらのデータを担当医師へとレポートとして送信、共有することができる。

④スタート(Start):うつ病管理アプリ。まず簡単なうつ症状に関するテスト(PHQ-9)を受け、回復状況や副作用などを医師と共有することができる。

リサーチキット(ResearchKit)と同様、アップルは、ケアキット(CareKit)でもユーザー(患者)の個人情報を閲覧或は利活用することはしないとガイドラインに定めている。
また、アップルと同様、開発者も開発者以外の第三者とデータを共有することはできない。
加えて、診断や治療アドバイスをアプリ上で行うには、FDAによる医療機器(プログラム)としての認可を受けていることをアップルは条件としている。

このようにアップルの条件が厳しい分、ユーザーは安心してアプリを使うことができる。
ただ、データ利活用の制限が厳しい分、事業性のパターンは限定されると考えられる。

例えば、前述の「GlowBaby/GlowNurture」こそフリーミアムというビジネスの形態をとるが(そもそも妊娠出産のデータは、成長の記録そのものであり、患者のデータと機微性が少々異なるわけだが)、それ以外の「スタート」や「ワンドロップ」などは完全に診断や治療に触れる部分まで想定していると想定され、医療機器としての製造販売モデルを前提としているようだ。

ヘルスキット(HealthKit)登場後、そのオープンソースプラットフォームを活用して睡眠からジョギングといった手軽に健康増進を促すようなアプリが続々と登場したが、ケアキット(CareKit)に関しては、アップルが課す様々な制限から、しっかりと医療機器(プログラム)としてのビジネスモデルを視野に入れている企業が中心になるのではないかと想定される。

いずれにしても、日本ではまだケアキット(CareKit)の情報が限られており、日本での展開や拡がり等、その動向を継続的にウォッチしていきたい。
以上

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Vol. 7  Appleが医療の本丸へサービス投入 ~ ケアキット(CareKit)で患者の自己管理 ~


2014年にヘルスキット(HealthKit)というオープンソースのフレームワークで健康分野に参入したApple。様々なデータやログを他の健康/フィットネス・アプリやデバイス(Apple Watchもその一つ)とシンクロすることを容易にしてきた。
翌年2015年には、リサーチキット(ResearchKit)を世に出した。ヘルスキットの対象が健康増進中心だったのに対して、リサーチキットは慢性疾患(糖尿病、乳がん、喘息etc)の臨床研究がテーマである。
そしてその一年後の今月、2016年3月にケアキット(CareKit)のリリースとなった。いよいよ医療の本丸への参入である。
ケアキットは、リサーチキットと同じ慢性疾患をもつ患者が対象のオープンソースのフレームワークである。ケアキットは臨床研究ではなく、治療・ケアに患者自身が利用できるところが違っているだけで、ヘルスキットとも連動している。

アップルは、現在のところ4つのモジュールについての存在を明らかにしている。
まず、「ケアカード(Carecard)」は、患者が自分の治療の計画を把握し、日々実施しなければならないこと(治療関連のリマインダー等)を補助することを目的としている。
次に「症状測定記録(Symptoms & Measurement Tracker)」。このモジュールは、接続機器からのデータ管理と日々の生活の記述を記録できる。
そして「ダッシュボード(Insight Dashboard)」。これは「ケアカード」のアクションに対して症状を照らし合わせることで治療が効果を上げているかを評価(”Assessment”)する。
最後に「コネクト」。これは、患者、医師、看護師、患者家族等を繋げ、コミュニケーションを促進するツールである。

健康の分野から臨床研究を経由していよいよ医療現場にアップルが本格的に参入してくる。この患者向けのデータ管理サービスの分野は、マイクロソフトがHealthVaultで2007年に、またGoogleがGoogleHealthと共に2008年にを開始してきたが、GoogleHealthは2012年にサービスを終了しているし、マイクロソフトのHealthVaultはサービスの継続はしているが、大きな潮流を作るまでに至っていないのが現状である。両サービスともスマートフォンやタブレットなどのモバイルが普及する前に開始されたサービスであり、今回のアップルのアプローチとは技術環境や手段がかなり違ってはいる。Appleがこの分野でどの程度のインパクトを医療に投げかけるのかは未知数であるが、興味深く注視していきたいところである。ケアキットの公開は4月からとなる。

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Vol. 5 医療におけるIoTとは ~ 喘息吸入器は「スマートインヘイラー」へ ~ 


IoT(Internet of Things)はモノのインターネットと呼ばれ、「モノ」がインターネットやクラウドに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みのことを指す。
簡単に言うと、今までインターネットに接続されていない携帯端末、冷蔵庫、エアコン等がインターネットに繋がる、或はインターネットを介してモノ同士が繋がる、そういったコンセプトがIoTである。
携帯端末については、既にいち早くiPhoneやAndroidといったスマートフォンという形でインターネットに繋がったIoTの一つの形であり、その医療分野での活用としてメドなびで初回から前回まで各トピックを記した。今回は、携帯端末以外の「モノ」でインターネットに繋がっているサービスとして喘息吸入器にスポットを当てて紹介する。

米国のプロペラヘルス社(http://propellerhealth.com/)は、昨年、喘息吸入器に装着する自社の機器がFDA(米食品医薬品局)から承認を受けたことを発表した。この機器をつけることにより、患者が一日何回、いつ吸入器を使用したかが自動的に記録され、これにより患者、或は患者の家族はスマートフォンアプリなどでその状況がほぼリアルタイムで閲覧、確認が可能になり、より良い自己管理につながるという。
また機器にはGPSが付いており、吸入された位置データがクラウド上にアップロードされ、吸入がどこでいつ行われたかが地図上でマッピングされる。このようなクラウド上に集積されたデータを活用し、温度や空気の悪い場所では風向きなどと併せて予防的に薬剤を吸引するようにアラートを受け取ることもできるようになる。これらはインターネットと接続し機能をもっていることから「スマート・インヘイラー(賢い吸入器)」と呼ばれている。
もう一社、同様の「スマート・インヘイラー」の開発企業にマサチューセッツ工科大学からスピンアウトして製薬企業のテバ・ファーマシューティカルズに買収されたゲッコー・ヘルス社や、ニュージーランドのアドヒリアム社も同様のスマート・インヘイラーのラインナップを上市しており、アストラゼネカ社とタイアップを行っている。

日本でも気管支喘息患者数は、成人・小児共に、ここ10年で約2~3倍に増加していると言われており、現在では800万人以上とも推定されている。また喘息患者のアドヒアランスは他の慢性疾患と比べて比較的低いと言われており、アドヒアランスの向上が患者のQOLを上げ、同時に医療費も抑制も期待される。
錠剤のIoT化は、昨秋、大塚製薬は同社の統合失調症治療薬にセンサーを内包した錠剤を開発し、FDAに製造販売を申請したというニュースが発表されている。今後アドヒアランスが悪く比較的高価な錠剤には、日本にもIoT化の波はやってくると思われるが、センサーを錠剤と一緒に服薬する抵抗感は患者によっては大きい可能性もあり、また、コスト的にも将来的には下がっていくと思われるが、現時点では、価格の高い薬剤でないと実現しないと思われる。
その点、スマート・インヘイラーは通常の吸入器に装着するだけで、身体に摂取することもないので、医師としても患者としても採用する際のハードルは低いと思われる。このようなハードウェアである医療機器と、医療機器から送信されたデータを活用するソフトウェアというこれまでは別々の進化を歩んできた技術が、IoTという分野によって融合される世界がやってくると、ハードウェアとソフトウェアを横断的に見れる人材も必要になってくる。今後のわが国での動向も注視したいところである。

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Vol. 4 どの医療健康関連アプリが自分に適しているのか? 


iPhoneであればiTunesストア、AndroidであればGoogle Playで検索してみると、現在では数多くの医療健康管理アプリが有料、無料でダウンロードできるようになっている。運動量、食事、薬、目的は多様だが、基本的にはデータを記録、共有、管理する機能をもつものが多い。

欧米ではさらに医療現場で使われるようになっており、医師が患者にアプリを処方する場面が増えてきていると言う。しかし、そのような医療アプリ先進国であっても、おびただしい数の医療健康アプリの中から、医師はどのアプリを自分の患者に薦めるべきか、一つ一つのアプリを確かめるのは極めて困難である。

その様な状況を受けて、3年前にAppScript(IMS Health社)というサービスが立ち上がった。これは、医師が処方してみたいと興味を持ちそうなアプリを集め、整理し、比較できるようにするポータルサービスで、現在では20万人以上の医師の利用する医師向けのポータルサイトであるQuantiaMDの医師向けプラットフォーム上で展開されている。

IMS Health社の調査によると、約9割の医師は自分の患者にアプリを処方してみたいと考えているが、実際アプリを患者に薦めるのは3人に1人に留まっている。その理由としては、上記の圧倒的な市場に出回っているアプリの数が大きな原因となっているという。また類似のアプリがある場合、どこが違うのか、どちらが優れているのかを簡単には判断できず、自分の患者に最適なアプリを選び出すことは困難であり、大きなハードルがあるとしている。

また逆に患者に対するアンケートの結果は、約9割の患者がアプリの評価は自分よりも医師にして欲しいと考えている。また、例え患者が自身でアプリをダウンロードしても、1か月以内に継続できずに使用を中止してしまう患者も8割と高い割合となっている。

このAppScriptは、2013年に4万のアプリからスタートして、現在では16万以上のアプリを対象にするまでに拡がっている。ポータルサイトで表示されるアプリは、全て機能性、開発した企業の過去歴、臨床効果、そして医師、患者の評価等で比較、選択ができるようになっている。

一般のiPhoneアプリがアップル社によって、アップル社の視点や基準で安全性等を審査し、アプリが取捨選択されているように、医療健康アプリも、第三者が利用目的や安全性や効果を含めた機能性等の医療視点で審査し、医師、患者に提供することは理に適っていると言えるだろう。

日本でも同様の医療健康アプリは、以前と比べても多く市場に出回るようになってきており、AppScriptのような客観的で、かつ医師/患者視点のサービスが求められる時代も、もうすぐそこに来ているかもしれない。

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Vol. 3「Research Kit」③~アップルのリサーチキットが乳がん患者にできること~


これまで、2回にわたってアップル社の医療アプリプラットフォームであるResearch Kitを取り上げてきた。以前、Vol1.で書いたように、現在、リサーチキットが対象とする病気の領域は、パーキンソン病、喘息、糖尿病等、心疾患等と並んで乳がんがある。今回はその乳がんのアプリ”Share the Journey(旅の共有)”について触れたい。

この”Share the Journey”にはサブタイトルが付いている。”Mind, Body and Wellness after Breast Cancer(乳がんにかかった後の「心」と「身体」と「健康状態」)”だ。「旅の共有」といっても、もちろん本当の旅ではない。英語では、旅と人生を同義で語ることが多いが、このアプリは、乳がんの主な治療、例えば手術や放射線や薬物治療などが一旦終了して、予後と言われるステージに入った患者を対象に、彼女たちの人生における「心」と「身体」と「健康状態」を記録し、共有する為のアプリである。

このアプリはUCLAのがんセンター、ペンシルバニア大学のがん研究所と非営利団体のセージ・バイオネットワークスがアップル社と共同で企画、制作、運営を行っている。

乳がん患者は、一連の乳がん治療が終了した後に、生活の質に影響を及ぼし、回復を阻害するような数々の症状を経験することがある。しかし、これらを年に2回の検査や診察では見逃してしまうことも多いはずであるというのが研究のスタートである。

対象は18-80歳までの乳がんの患者グループと同様の年齢の健康者のグループであり、この2群を比較することで、症状の中の何が乳がん治療の副作用であり、何が通常の加齢によって起こっているものなのかを明確にする目的があるという。

研究者にとっては、リサーチキットを使うことで、患者のリクルーティングが容易になるが、それに加えて、患者の様々なデータを簡単にトラッキングして集めることが可能になった。

UCLAのニュースリリースによると、プロジェクトの責任者であるPatricia Ganz博士は、これらの研究を行うためのアプリを創った理由についてこう述べている。「物語(Anecdotes)を信号(Signal)に変え、信号が明確になることによって効率的、効果的にケアが介入していけるしくみを見つけたいのです。」「現在の乳がんをケアするしくみにはこれらの慢性的な疲労や継続する様々な症状を予測したり治療したりする機能が欠如しており、これらをこのアプリや研究で解決したい。」

また、同博士は、このような”patient-reported health data(患者起点のヘルスデータ)”を長期間において集めて、患者の経験を理解することで”Personalized Care(個別的なケア)”を実現できるとしている。

弊社でもがん患者のSNSを行っているが、上記のような取り組みも加味しながら、より患者を中心にした治療やケアを支援、促進させていければと考えている。

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Vol. 2「Research Kit」②~医薬品の開発に使われるようになるのか~


 

前回取り上げたアップル社のリサーチキットは、フィットネスなどの健康者が対象のヘルスキットとは違い、「患者」を対象とした医療用アプリ等のテンプレート集であり、プラットフォームであると書いた。既に、スタンフォード大学、オックススフォード大学、UCLA等6つの医学部や病院がリサーチキットを活用して臨床研究を開始している。

一方で、医療機器や医薬品として患者に届くまでには、臨床研究の中でもより厳しい精度を当局から求められる治験を行う必要がある。リサーチキットを治験で用いることが可能になれば、アイフォンユーザー全体から潜在被験者を募集でき、同意をとれ、治験管理の期間や負担が劇的に軽減されるはずである。リサーチキットは治験で使えるか検討してみたい。

まず、被検者募集プロセスは、①医師が患者に働きかける方法と②患者が能動的に自分に適すると思われる治験を探し参加する、という大きく2種類の方法がある。

前者は医者が治験の存在を知った上で、患者がこの治験に該当するかどうかも含め積極的に働きかける必要が医者にある。後者の患者が治験を探す場合も治験参加病院や条件など情報入手などハードルは低くない。これがリサーチキットにより、アイフォンを持っている全ユーザーが被検者募集の対象になり、より簡易に患者自身が、どの治験に適しているのかをある程度判断することができるとすれば、現在までに考えられないインパクトがありそうだ。

しかも、治験に参加する際には多くの同意書を含めた多くの書類にサインをしなければならないが、このリサーチキットを使えば極めて煩雑なプロセスが簡素化されるという。一般に米国では治験費用全体の3割、日本でも1割が被検者募集のコストという研究も有り、開発の迅速化による期間短縮とその他費用の低減化で新薬開発のコストダウンに寄与する可能性が十分にある。

このような中でグラクソ・スミスクライン(GSK)は、製薬企業として最初にこのリサーチキットを治験に活用しようとしている(FierceBiotechIT 2015年7月)。具体的な内容は年内には明らかにするとのことで詳細は不明であり、目下可能性を検討模索中のようである。また、ロシュはリサーチキットではなく、グーグルのアンドロイド上であるが、パーキンソン病用のアプリを開発し、治験を行うことを明らかにした(MobiHealthNews 2015年8月)。

課題としては、やはり患者のプライバシーがまず挙げられるだろう。アップルは、「自社は個人情報を見ないし、活用しない」としているが、極めて機微な個人情報が何らかの経路で漏洩されたり、改竄されることが皆無、或いは、あったとしても、具体的な対処や保証の道筋を明らかにしなければならない。また、セキリュティやプライバシー問題の他にも科学研究としての信頼性を担保できるかという問題もあり、これはアップル社や製薬企業の問題を超えて、当局や医学会、患者支援団体等々の議論や合意が必要になるであろう。

いづれにしても被検者募集を含めた治験のスピードアップやその他省力によるコストメリットを考えるとそのインパクトは極めて大きくなることが考えられるが、アップル社はスマートフォンのシェアとしては、(日本は例外だが)多くの国でグーグル社のアンドロイドを下回っている。規模のメリットを考える場合は、アップルのリサーチキットに加えて、グーグルのアンドロイドでの活用も加味して十分に吟味していくタイミングであろう。

Research Kitについてご興味がありましたら、お気軽にこちらからお問合せください。

Vol.1 アップル社が放った医療プラットフォーム「リサーチキット」 ①~リサーチキットとは何か?~


図1

アップル社は、去る3月に医療情報管理ソフトウエアフレームワークである「リサーチキット」を発表した。このソフトにより、研究者らはiPhone(アイフォーン)を使って患者の情報を収集することができるようになるというアップル社の発表から約半年が経ったが、その後、製薬企業のR&Dに活用していくなどの報道も一部で始めてきている。そもそもリサーチキットとは何か。

リサーチキットとは何か、何ができるのか
リサーチキットは臨床研究を支援するための一種のプラットフォームになっている。必要なのはiPhoneとiPhoneアプリとデータを格納するためのクラウドサービスであり、特別なハードウェアなどはもちろん必要がない。アップル社は、「iPhoneは世界中で数億人が使用しており、医療研究に大きく貢献することが可能となるだろう」と言っており、同時に「リサーチキットによって集められる臨床データにアクセスし、閲覧、活用することはない」と断言している。他社も開発に利用できるよう、ソフトのソースコードは公開されている。

それでは、どのような疾病分野で始まっているのか。
喘息や乳がん、心臓疾患、糖尿病などを研究している医療機関は、既にリサーチキット上で動作するアプリケーションを開発している。

例えば、iPhoneアプリを使ってパーキンソン病の診断ができる。2つのボタンを交互にタップすることで、どの程度、敏捷にタップできたかどうかをもとに診断を行う。
また、iPhoneに向かって「アー」と声をだすことで、声帯の震えが正常かどうかも診断できる。さらに、iPhoneをポケットに入れて歩くことで、身体の搖動を調べることができる。 このアプリの優れているところは、自らの状態がどうであるかを視覚的に見ることができることである。

患者、研究者、アプリ開発企業も含めた三方よしの仕組み
リサーチキットは同じくアップル社のヘルスキットと連動しているが、iOS 8から提供を始めているヘルスキットにより、既に900以上の健康アプリ、フィットネスアプリが開発されている。患者の同意があれば、医療研究者は、ヘルスキットによって蓄積された歩数、カロリー、心拍数等のデータをリサーチキットと連動させて活用することができ各段に開発が楽になると言われている。つまり、アプリ開発企業にもメリットがあり、そして患者は個人情報が保護され、必要に応じて研究結果がフィードバックされるなどのメリットがあり、研究者は、必要な規模の研究を安価で迅
速に行えるという関係者にメリットがあるプラットフォームなのである。

→次回 Vol. 2 アップル社が放った医療プラットフォーム「リサーチキット®」②

~リサーチキットは、医薬品、医療機器の開発に使われるようになるのか~

 

メドなび はじめに


私たちは、新しい医療社会の実現にICTをどう活用するかを「患者を中心に、日本に無いものを、日本に合った形で」考え、具現化して来ました。(http://mediaid.co.jp/)
「2020年問題」。2020年代、団塊世代は後期高齢者になる。毎年の死亡数は出生数の2倍である150万人が死亡すると言われています(国立社会保障・人口問題研究所)。高齢化率が30%を超す未曽有の社会になることで、様々な医療・介護の問題が今にもまして湧き上がってくる時代はすぐそこまで来ています。

私たちは、そのような課題を克服する社会を「新たな医療社会」と呼び、そして、その社会を迎えるためには、医療にある種の「跳躍」が必要だと考えています。
跳躍のための一つの要件として、私たちが考えているのは、患者参加型のチーム医療の実現であり、それを実現するためにICT技術をより活用していかなければなりません。

チーム医療において、情報やデータの共有や活用は各段に複雑になります。これらを実現する技術は、各段に普及してきたといえます。例えば、以前は、高価で院内に閉ざされた専用線から、より安価でセキュリティやプライバシーが考慮された有線・無線のネットワーク。或は、パソコンが中心だったインターネットへの接続もスマートフォン、タブレット、そして現在はウェアラブル端末、IoTといった様々な使いやすい機器も浸透し始めています。

私たちは、医療や関連テクノロジーが大きく変わっていく過渡期に生きています。メドなびでは、海外の事例、特に米国を中心に技術やサービスなどの切り口でほぼ週次で簡潔に紹介していく予定です。 ただ米国事例といっても、日米では、右表のように人口や国土の広さ保険制度など、メドなび はじめに大きく状況が異なる背景がありますので、米国で活用されるサービスであるということが直ちに日本でも普及するとは言えません。

しかし、より市場主導の米国の自由な発想は、より必要な技術をより顧客視点、事業視点で提供していく実験場であり、日本の未曽有の医療社会を考える上でヒントになり得ることも多くあると考えています。メドなびでは、現在注目されている技術やサービス等を逐次、備忘ノートのようにカジュアルに記録、発信して行き、その結果として読者の方々の思考や議論のきっかけの一助になればと思っています。

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