Vol. 7  Appleが医療の本丸へサービス投入 ~ ケアキット(CareKit)で患者の自己管理 ~


2014年にヘルスキット(HealthKit)というオープンソースのフレームワークで健康分野に参入したApple。様々なデータやログを他の健康/フィットネス・アプリやデバイス(Apple Watchもその一つ)とシンクロすることを容易にしてきた。
翌年2015年には、リサーチキット(ResearchKit)を世に出した。ヘルスキットの対象が健康増進中心だったのに対して、リサーチキットは慢性疾患(糖尿病、乳がん、喘息etc)の臨床研究がテーマである。
そしてその一年後の今月、2016年3月にケアキット(CareKit)のリリースとなった。いよいよ医療の本丸への参入である。
ケアキットは、リサーチキットと同じ慢性疾患をもつ患者が対象のオープンソースのフレームワークである。ケアキットは臨床研究ではなく、治療・ケアに患者自身が利用できるところが違っているだけで、ヘルスキットとも連動している。

アップルは、現在のところ4つのモジュールについての存在を明らかにしている。
まず、「ケアカード(Carecard)」は、患者が自分の治療の計画を把握し、日々実施しなければならないこと(治療関連のリマインダー等)を補助することを目的としている。
次に「症状測定記録(Symptoms & Measurement Tracker)」。このモジュールは、接続機器からのデータ管理と日々の生活の記述を記録できる。
そして「ダッシュボード(Insight Dashboard)」。これは「ケアカード」のアクションに対して症状を照らし合わせることで治療が効果を上げているかを評価(”Assessment”)する。
最後に「コネクト」。これは、患者、医師、看護師、患者家族等を繋げ、コミュニケーションを促進するツールである。

健康の分野から臨床研究を経由していよいよ医療現場にアップルが本格的に参入してくる。この患者向けのデータ管理サービスの分野は、マイクロソフトがHealthVaultで2007年に、またGoogleがGoogleHealthと共に2008年にを開始してきたが、GoogleHealthは2012年にサービスを終了しているし、マイクロソフトのHealthVaultはサービスの継続はしているが、大きな潮流を作るまでに至っていないのが現状である。両サービスともスマートフォンやタブレットなどのモバイルが普及する前に開始されたサービスであり、今回のアップルのアプローチとは技術環境や手段がかなり違ってはいる。Appleがこの分野でどの程度のインパクトを医療に投げかけるのかは未知数であるが、興味深く注視していきたいところである。ケアキットの公開は4月からとなる。

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