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モバイルヘルス

モバイルヘルスとは

「モバイルヘルス」とは、高機能化するスマートデバイスであるスマートフォン端末やタブレット端末などを利用して行う医療行為や診療サポート行為のことを言う。海外では「Mobile Health」もしくは「mHealth(エム・ヘルス)」と略されている。

「モバイルヘルス」においては、患者のモバイル端末と様々なヘルスケア機器をデータ連携し、モバイル端末から患者データ(PHRデータ/パーソナルヘルスレコード)を収集してクラウド上で管理する。その収集したPHRデータは、いくつかの病状の治療や診断に利用される正確な結果を得ることに役立てることができる。またモバイルヘルスは、服薬アドヒアランスやコミュニケーションの改善を支援し、患者の遠隔モニタリングを可能にし、患者のモニタリング情報を解析することによって、患者の状況に応じた適切なメッセージを受け取ることや、必要に応じて医療機関に予約を入れたりするなどのことを可能にする。その結果、ヘルスケアのサプライチェーンマネジメント、診断および治療のサポート、慢性疾患のモニタリングおよび管理、人々の健康意識の向上などに幅広く応用される。現在、モバイルヘルスは、高齢者を対象とした在宅患者モニタリングサービスとして世界的にも普及している。中にはヘルスケア機器に携帯モジュールを組み込み、携帯回線を経由してクラウド上に直接PHRデータを送信するといったサービスもある。

モバイルヘルスは次のようなデジタル技術の発展から進展をしてきた。

モバイル端末の進展とデータ連携技術の進展

2007年にiPhoneが発売された。モバイル端末には、加速度センサーやジャイロセンサー、GPSセンサーなどの各種センサーが搭載され、歩行や運動、階段の昇降に関するデータを自動的に端末にて自動的に収集できるようになった。さらに2009年末に省電力型Bluetooth(Bluetooth Low Energy:BLE)通信の仕様が公開され、低消費電力の通信が可能となり、モバイル端末とヘルスケア機器の連携にこのBLE通信が使われるようになった。これによって様々なヘルスケア機器が通信機能を備えることができるようになり、「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)」の世界が整備されることとなった。

ウェアラブルデバイスの普及

2014年にはApple社からはHealthKit(ヘルスキット)がリリースされた。HealthKitはiPhoneのヘルスケアアプリに蓄積されているデータと他のアプリのデータとを連携できるようにした開発者ツールであり、あるヘルスケアアプリに蓄えらたデータをヘルスケアキットに蓄積することや、逆にヘルスキットに蓄積されているデータを他のアプリでも読み出せるようになり、アプリ間のデータ互換性が生み出されるようになった。これによって他のヘルスケアデバイスで測定した体温や体重などのデータをヘルスキットに集約し、各アプリで参照可能になった。

そしてAppleWatch(アップルウォッチ)、Fitbit(フィットビット)などのウェアラブルデバイスが登場し、これらのウェアラブルデバイスで取得された歩数や活動量の他、昨今では酸素飽和度や心電図などのデータも取得が可能となり、取得されたデータがスマホ端末とBLE通信を行うことで、スマホ端末上、そしてクラウド環境で管理できるようになった。

デジタル治療へ

ウェアラブルデバイスやスマホ端末などのスマートデバイスの普及によって、アプリを用いた情報提供や治療介入を行い、治療効果を向上させようとする取り組みが進んでおり、そのような取り組みはデジタル治療と呼ばれる。米国ではFDA(アメリカ食品医薬品局)が始めて認可したデジタル治療薬アプリが、WellDoc社の糖尿病治療アプリ「BlueStar」である。日本においても、禁煙支援アプリや高血圧症治療用アプリなどが登場しはじめている。

モバイルヘルスの具体例

心電図・心拍モニター

・心電図(AppleWatch)

Apple Watch Series 4、Series 5、Series 6 および Series 7の電気心拍センサーを使って心臓の鼓動と心拍リズムを記録し、その記録内容から、不整脈の一種である心房細動 (AFib) が起きていないかどうかを調べることができる。

・携帯型心電計(オムロンヘルスケア)

日常生活の中で心電図を記録し、心房細動をはじめとする不整脈の早期発見と治療支援につなげるために開発された医療機器。スマホアプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」と連動して閲覧する。

血糖値管理

・mySugr(ロシュDCジャパン株式会社)

血糖値、日常生活(食事、薬、炭水化物、運動、気分など)を簡単に記録し、振り返りできる。血糖測定器から血糖値を自動同期なども実現をしている。

・スマートeSMBG(アークレイ社)

「血糖値管理」「食事記録」「歩数計」「バイタル管理」など、糖尿病患者さまにとって有用なメニューを搭載したスマートフォン用のアプリ。

血圧管理

・OMRON connect(オムロンヘルスケア)

「かんたん血圧日記」の血圧グラフでは、血圧データと服薬記録だけでなく、体重・歩数データおよび行動メモと血圧グラフを一緒に表示でき、血圧と関連性が高いと言われている体重と歩数を血圧データと合わせて管理ができる。

全身の健康状態把握

・Binah(ビナー)

非接触型のヘルス&ウェルネスモニタリングアプリ。頬上部の肌の状態から、バイタルサインやストレスレベルといった全身に関する健康指標を知ることができる。スマートフォンなどのデバイスカメラから得られる映像データを利用するため、従来の計測機器における装着の手間を不要とする。将来的には、遠隔医療や職場でのウェルネスモニタリングなどへの応用が期待されている。

メディエイドのモバイルヘルスアプリ

メディエイドでは、他社様向けにモバイルヘルスアプリの受託開発に加え、患者向けアプリとして「からだパレット」アプリをご提供させていただいています。

「からだパレット」アプリにおいては、血糖測定器や血圧計、体温計、体重計などとのBluetooth通信や、Apple社のHealthKit連携、Google社のGoogle Fit連携、そしてfitbit社クラウドとの連携などを実現したモバイルヘルスアプリを開発しています。「からだパレット」アプリは他のアプリへの組み込みも可能な形でのご提供をしておりますので、患者向けに提供するモバイルヘルスアプリ開発を検討しているなど、何かお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。