医療DXの普及には「使いやすさ」が不可欠
国が進める医療DXが広がるためには、様々なサービスが多くの利用者に受け入れられることが重要です。そのためには、医療・ヘルスケアサービスの「使いやすさ」を高めることが求められます。
「ユーザビリティ(Usability)」とは、製品やサービスの 「使い勝手」や「使いやすさ」 のことを指し、国際規格 ISO 9241-11 では以下のように定義されています。
- 有効性(Effectiveness):ユーザーが指定された目標を達成する上での正確さおよび完全さ
- 効率(Efficiency):ユーザーが目標を達成する際に正確さと完全さに関連して費やした資源
- 満足度(Satisfaction):不快さのないこと、および製品使用に対しての肯定的な態度
また、UX(ユーザーエクスペリエンス)の第一人者である ヤコブ・ニールセン(Jakob Nielsen) は、ユーザビリティを以下の5つの指標で評価できるとしています。
- 学習しやすさ(Learnability):システムは、ユーザーがそれを使って作業をすぐ始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない。
- 効率性(Efficiency):システムは、一度ユーザーがそれについて学習した後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである。
- 記憶しやすさ(Memorability):ユーザーがシステムをしばらく使わなくても、再度使用する際にすぐ使えるように覚えやすくしなければならない。
- エラー発生率(Errors):システムはエラー発生率を低くし、ユーザーがシステム使用中にエラーを起こしにくくし、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また致命的なエラーが起こってはならない。
- 満足度(Satisfaction):主観的満足度システムは、ユーザーが個人的に満足できるよう、また好きになるよう、楽しく利用できるようにしなければならない。
ユーザビリティの10原則(Jakob Nielsen’s 10 Usability Heuristics)
さらに、ニールセンは「ヒューリスティック評価」として、UI/UXデザインで考慮すべき10の原則 を提唱しています。
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システムの状態の状態を可視化する(Visibility of system status)
- システムが現在どのような状態にあるのかを、ユーザーに適切にフィードバックすることが重要です。
- 例:ローディングアイコンや進行状況バー。
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実世界とシステムをマッチングさせる(Match between system and the real world)
- システムは現実世界の慣習や言葉に合わせ、直感的に理解できるようにするべきです。
- 例:アイコンやナビゲーションのわかりやすさ。
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ユーザーに制御の主導権と自由を与える(User control and freedom)
- ユーザーが間違った操作をしても簡単に取り消せる(Undo機能)ことが求められます。
- 例:「戻る」ボタンや確認ダイアログ。
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一貫性と標準性を保持する(Consistency and standards)
- 同じ操作やデザインパターンは一貫して使用し、業界標準に準拠することが重要です。
- 例:アプリ内のボタン配置が統一されていること。
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エラーを起こさない(Error prevention)
- ユーザーが間違えないように事前に防ぐデザインをすることが大切です。
- 例:フォーム入力時のリアルタイムバリデーション。
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覚えなくても理解できるデザインにする(Recognition rather than recall)
- ユーザーが情報を覚えておく必要がないように、メニューやオプションを視認可能な形で提供します。
- 例:オートコンプリート機能。
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柔軟性と効率性を持たせる(Flexibility and efficiency of use)
- 初心者にも使いやすく、熟練者にはショートカットなどで素早い操作ができるようにすること。
- 例:キーボードショートカットの提供。
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最小限で無駄のないデザインにする(Aesthetic and minimalist design)
- 不要な情報を削減し、視認性と可読性を向上させることが重要です。
- 例:シンプルなUIデザイン。
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ユーザー自身で認識・診断・回復ができるようにする(Help users recognize, diagnose, and recover from errors)
- エラーメッセージは分かりやすく、解決策を提示することが求められます。
- 例:404エラーページにナビゲーションを設置。
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ヘルプとマニュアルを用意する(Help and documentation)
- 必要な情報をすぐに参照できるようにすること。
- 例:FAQやガイドツアーの提供。
医療DXとユーザビリティ
医療ヘルスケア分野では、サービスを利用するのは 医療従事者だけでなく、患者さんや高齢者など多様なユーザー です。そのため、以下のような点を考慮する必要があります。
- 直感的な操作性:医療従事者が短時間で操作を習得できる
- 誤操作の防止:患者さんが重要な情報を誤って入力・削除しない設計
- 視認性と可読性:高齢者でも分かりやすいUIデザイン
当社では、医療DXにおけるサービスデザインの中心にユーザビリティを据え、より多くの人にとって 「使いやすい」医療サービス を提供できるよう取り組んでいます。
メディエイドのUI/UXデザインコンサルティング
医療ヘルスケア分野において、「使いやすさ」 は単なる利便性ではなく、 患者や医療従事者の負担軽減や安全性向上に直結 します。
メディエイドでは、医療DXを支えるUI/UXデザインのコンサルティングを提供し、 より直感的で効果的なデザイン設計をサポート します。
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