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PRO(Patient Reported Outcome:患者報告アウトカム)とは、臨床アウトカムの一つである。従来、治療結果の評価法としては、生理学的、或は生化学的なアウトカム、また画像検査や生存率などの医学的指標が用いられてきたが、患者による主観的要素を考慮することは少なかった。一方で、生活習慣病やアレルギー疾患、癌などの慢性疾患の増加によって、アドヒアランス等、患者の治療参加がより重要になり、患者の認識や価値観が治療結果を左右することから、患者の主観的評価を科学的に測定していくことが求められてきている。この「患者が評価したアウトカム」が即ちPROであるが、この用語が使われ始めたのも21世紀に入ってからという新しい概念である。FDAは「患者の健康状態に関する患者から直接得られた報告に基づく測定」とされ、しかも「臨床医などによる患者の回答の修正または解釈を介さない」と厳格に医師の評価の影響を除外することと記載している。
包括的尺度としてSF-36(※1)、EQ-5D(※2)、疾患・症状特異的尺度として、疼痛に用いられるNRS(※3)、関節炎・腰痛に用いられるWOMAC(※4)等がその代表例である。
※1)SF-36®は、健康関連QOL(HRQOL: Health Related Quality of Life)を測定するための、科学的で信頼性・妥当性を持つ尺度。SF-36は、米国で作成され、概念構築の段階から計量心理学的な評価に至るまで十分な検討を経て、現在、170カ国語以上に翻訳されて国際的に広く使用されている。
※2)EQ-5D評価とは、欧州で開発された、医療従事者でなくとも簡易に測定できる健康関連 QOL(HRQOL)の尺度として幅広く用いられている調査表。わが国では翻訳された日本語版EQ-5Dがある。
※3)NRS(Numerical Rating Scale)は、痛みを0から10の11段階に分け、痛みが全くないのを0、考えられるなかで最悪の痛みを10として、痛みの点数を問うものである。
※4)WOMAC (Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)は膝関節症や変形性 股関節に特異的な QOLの尺度として用いられ ている.元々は人工膝関節置換術の成績を評価 するためのものとして作製された。
ePROとelectronic Patient Reported Outcomeの略であり、電子デバイスを用いてPRO(Patient Reported Outcome)データを収集することをいう。ePROには患者がスマートフォン端末やタブレット端末などのスマートデバイスにインストールしたアプリから質問への回答を入力するタイプや、パソコン端末を利用してWEBサイトから回答を入力するタイプなどがある。ePROは紙媒体を用いた従来までのPROの評価方法と比較して、インターネットを介すことで患者からの回答を収集することが可能であり、患者は来院時以外でも自宅にいながらにしてスマートデバイスやパソコン端末上で1週間ごとなど、定期的に回答をするなどのことが可能となる。
欧米を中心に様々な研究が行われており、例えばがん患者で補助化学療法を行っている場合に、患者にはePROで定期的に回答をしてもらい、アルゴリズムに基づくアラートを医療従事者側に出して患者への連絡が必要な場合を検知し、医療従事者が患者に連絡をするなどの取り組みもある。
日本ではLINE利用者数が多いというメリットを活かし、LINEアカウントを活用して定期的な質問を行い、患者に回答をしてもらうような取り組みもある。アプリを別途インストールするなどの方法に比べて、患者参加のハードルを下げるというメリットがあると思われる。
ePROの導入によって、介入を必要とする患者をアルゴリズムで抽出、患者への連絡を行うことで患者のQOL向上に寄与することは可能ではあるが、医療従事者における負担の大きさは課題の一つと思われる。今後、ePROの活用の広がりにおいては、医療従事者における負担軽減も一つのキーポイントになってくると思われる。
スマートフォンなどのスマートデバイスを活用したPHR(パーソナルヘルスレコード)の発展に伴い、患者の状況を適切に把握し、タイムリーなデータ収集や効果的なコミュニケーションを取ることも可能になっている。当社では、PHRコミュニケーションプラットフォーム「LiNQ-CIRCLE(リンクサークル)」を提供したPHRアプリ開発を行っております。また本プラットフォームにおいては、PHRアプリを通じた定期的なフォローアップの仕組みも本プラットフォーム上では提供をしています。
また食事管理アプリ「食事パレット」やバイタル管理アプリ「からだパレット」、電子お薬手帳アプリ「お薬手帳パレット」などがあり、これらを他のアプリへフレキシブルに組み込みが可能な形でのご提供をしておりますので、患者向けに提供するPHRアプリ開発を検討しているなど、何かお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)は、生活者・患者が自身の健康情報をデジタルで管理し、必要に応じて医療機関と共有できる仕組みです。LiNQ-PadはこのPHRの活用をさらに促進し、より高度な医療サービス提供を可能にします。
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