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認知負荷

認知負荷(Cognitive Load)とは、人が情報を理解したり、判断したり、操作したりするときに、頭の中で処理しなければならない負担のことです。

Webサイトやアプリ、業務システムを利用する際、ユーザーは画面に表示された情報を読み取り、意味を理解し、次に何をすればよいかを判断します。
このとき、情報が多すぎたり、言葉がわかりにくかったり、画面構造が複雑だったりすると、ユーザーの認知負荷は高くなります。

認知負荷が高い状態では、ユーザーは迷いやすくなり、操作ミスや離脱が起こりやすくなります。
そのため、UI/UXデザインでは、ユーザーができるだけ少ない負担で理解し、判断し、行動できるように設計することが重要です。

特に医療・ヘルスケア領域では、専門用語や制度、検査値、服薬情報、健康データなど、理解に負担がかかりやすい情報が多く扱われます。
また、生活者・患者さんは、体調不良や不安を抱えた状態でアプリやWebサービスを利用することもあります。

情報の整理や見せ方によって、認知負荷は大きく変わります。

認知負荷が高いUIと低いUIの違いを比較した図。情報量や優先順位、言葉のわかりやすさ、次の行動の示し方によって、理解しやすさや行動しやすさが変わることを示している。
そのため、医療ヘルスケアアプリやPHRアプリでは、認知負荷を下げる設計が、使いやすさだけでなく、安心感や継続利用にもつながります。

認知負荷が高い状態とは

認知負荷が高い状態とは、ユーザーが画面を見たときに、理解や判断に多くのエネルギーを使っている状態です。

例えば、次のような画面では、認知負荷が高くなりやすくなります。

・画面内に情報が多すぎる
・専門用語や略語が多い
・どこを押せばよいかわからない
・次に何をすればよいかわからない
・似たようなボタンや項目が並んでいる
・入力項目が多く、何を入力すべきか迷う
・エラーが出ても、何を直せばよいかわからない
・重要な情報と補足情報の区別がつきにくい
・画面ごとに操作ルールや表示ルールが異なる

このような状態では、ユーザーはサービスを使いながら「考えること」に多くの力を使うことになります。

結果として、入力途中で離脱したり、必要な情報を見落としたり、誤った操作をしてしまったりする可能性があります。


医療ヘルスケア領域で認知負荷が重要な理由

医療・ヘルスケア領域では、一般的なWebサービスやアプリ以上に、認知負荷への配慮が重要です。

その理由は、扱う情報が専門的であり、かつ利用者の状況が多様だからです。

例えば、医療従事者にとっては日常的な用語であっても、生活者・患者さんにとっては意味がわかりにくい言葉があります。
また、検査値や服薬情報、症状の記録、注意喚起などは、正しく理解しなければ次の行動につながりにくい情報です。

さらに、医療ヘルスケアサービスを利用する人は、必ずしも落ち着いた状態で画面を見ているとは限りません。

体調が悪いとき、不安があるとき、家族の状態を確認したいとき、薬局や医療機関で急いでいるときなど、利用する場面によって心理的な余裕は変わります。

そのため、医療ヘルスケア領域のUI/UXデザインでは、単に画面をきれいに整えるだけでなく、ユーザーが余計に考えなくても必要な情報を理解できるようにすることが重要です。


認知負荷を下げるための設計ポイント

認知負荷を下げるためには、情報量を減らすだけでは不十分です。
必要な情報を削りすぎると、かえって判断しにくくなる場合もあります。

重要なのは、ユーザーが必要なタイミングで、必要な情報を、理解しやすい形で受け取れるようにすることです。

▼情報の優先順位を明確にする

画面内のすべての情報を同じ強さで表示すると、ユーザーはどこを見ればよいのかわからなくなります。

そのため、最初に見るべき情報、次に確認すべき情報、必要に応じて見る情報を分けて設計することが重要です。

例えば、PHRアプリであれば、直近の記録、変化が大きい項目、医療者に共有すべき情報などを優先的に見せる設計が考えられます。

▼専門用語をわかりやすくする

医療・ヘルスケア領域では、専門用語を完全になくすことはできません。

しかし、専門用語をそのまま表示するだけでは、生活者・患者さんにとって理解しにくい場合があります。

そのため、必要に応じて補足説明を入れたり、日常的な言葉に置き換えたり、具体的な行動につながる表現にすることが大切です。

例えば、医療者向けには専門用語をそのまま使う方が効率的な場合もありますが、患者さん向けには「何を意味するのか」「次に何をすればよいのか」が伝わる表現が求められます。

▼画面ごとの役割を明確にする

ひとつの画面に多くの役割を持たせすぎると、ユーザーは目的を見失いやすくなります。

記録する画面、確認する画面、共有する画面、相談する画面など、画面ごとの役割を整理することで、ユーザーは次の行動を判断しやすくなります。

特に医療ヘルスケアアプリでは、記録、閲覧、共有、通知、相談など複数の機能が組み合わさることが多いため、画面ごとの目的を明確にすることが重要です。

▼入力の負担を減らす

入力項目が多すぎたり、選択肢がわかりにくかったりすると、ユーザーの認知負荷は高くなります。

問診、食事記録、服薬状況、症状記録、アンケートなどでは、入力の順番や項目数、選択肢の見せ方が重要です。

必要な情報を正しく取得しながらも、ユーザーが迷わず入力できるように、項目の分類、入力補助、初期値、選択肢の整理などを検討する必要があります。

▼操作後の反応をわかりやすくする

ボタンを押した後に、保存されたのか、送信されたのか、処理中なのかがわからないと、ユーザーは不安になります。

そのため、保存完了、送信完了、読み込み中、エラー発生などの状態を、わかりやすく伝えることが大切です。

医療ヘルスケア領域では、情報が正しく送られたか、記録が保存されたか、医療者に共有されたかが安心感に関わるため、操作後のフィードバックも重要な設計要素になります。


認知負荷と情報設計の関係

認知負荷を下げるためには、情報設計が重要です。

情報設計とは、ユーザーが必要な情報に迷わずたどり着き、理解し、次の行動に移れるように、情報の構造や導線、表示順、言葉を設計することです。

情報の分類や優先順位、画面遷移、ラベル、説明文などが整理されていないと、ユーザーは画面を見るたびに「これは何か」「どこを押すのか」「次に何をすればよいのか」を考えなければなりません。

つまり、情報設計が不十分な状態では、認知負荷が高くなりやすくなります。

特に医療ヘルスケア領域では、生活者・患者さんと医療従事者では、同じ情報に対する理解や使い方が異なります。

そのため、誰が、どの場面で、何のために情報を見るのかを整理し、それぞれに適した情報構造を設計することが重要です。


PHRアプリにおける認知負荷

PHR(Personal Health Record)アプリでは、生活者・患者さんが自分の健康情報や医療情報を記録し、見返し、必要に応じて医療者に共有します。

そのため、認知負荷を下げる設計では、次のような視点が重要になります。

・何を記録すればよいかがわかりやすい
・入力の手間が少ない
・記録した情報の意味が理解しやすい
・日々の変化を見返しやすい
・医療者に見せたい情報をすぐに提示できる
・専門用語や数値の意味が必要に応じて確認できる
・不安を煽らず、次の行動につながる表現になっている

PHRアプリは、単に健康データを保存するだけのものではありません。
生活者・患者さんが自分の状態を理解し、医療機関や薬局、家族などとつながるための接点にもなります。

そのため、認知負荷を下げることは、記録のしやすさだけでなく、医療者とのコミュニケーションや継続利用にも関わります。


医療者向けシステムにおける認知負荷

認知負荷への配慮は、生活者・患者さん向けのアプリだけでなく、医療者向けシステムでも重要です。

医療従事者は、限られた時間の中で多くの情報を確認し、判断する必要があります。

そのため、医療者向けシステムでは、情報を詳しく表示するだけでなく、業務の流れに沿って必要な情報をすばやく確認できる設計が求められます。

例えば、患者一覧、服薬状況、バイタル推移、問診内容、連絡履歴などを扱う場合、どの情報を一覧で見せるのか、どの情報を詳細画面に分けるのか、重要な変化をどのように知らせるのかを整理する必要があります。

情報量が多い医療者向けシステムでは、単に画面を詰め込むのではなく、確認すべき情報と必要に応じて深掘りする情報を分けることが、認知負荷の軽減につながります。


認知負荷を下げるUI/UXデザインの例

認知負荷を下げるUI/UXデザインには、さまざまな方法があります。

例えば、次のような工夫が考えられます。

・重要な情報を画面上部に配置する
・関連する情報をグループ化する
・同じ操作には同じ表現や配置を使う
・専門用語には補足説明を加える
・入力項目を段階的に表示する
・選択肢を整理し、迷いにくくする
・保存完了や送信完了を明確に伝える
・エラー時には原因と対処方法を具体的に示す
・グラフやアイコンを使い、変化や状態を直感的に伝える
・次に取るべき行動をボタンや文言でわかりやすく示す

これらの工夫は、単に画面をわかりやすくするためだけのものではありません。

医療ヘルスケア領域では、ユーザーが自分の状態を理解し、必要な行動を取り、医療従事者などと適切にコミュニケーションを取るための支援にもなります。


認知負荷とアクセシビリティの関係

認知負荷を下げることは、アクセシビリティにも関係します。

アクセシビリティは、年齢や障害の有無、利用環境にかかわらず、できるだけ多くの人が情報やサービスを利用できるようにする考え方です。

文字の読みやすさ、色の見分けやすさ、音声読み上げへの対応、操作のしやすさなどは、アクセシビリティの観点で重要です。

一方で、情報の理解しやすさ、選択肢のわかりやすさ、説明文の明確さ、画面構造の一貫性などは、認知負荷にも関わります。

特に高齢者や、医療情報に慣れていない生活者・患者さんにとっては、画面が見えることだけでなく、意味が理解できること、迷わず操作できることが重要です。

そのため、医療ヘルスケア領域のUI/UXでは、アクセシビリティと認知負荷の両方を意識した設計が求められます。


認知負荷を下げる際の注意点

認知負荷を下げるというと、情報を少なくすることだけを考えがちです。

しかし、医療ヘルスケア領域では、必要な情報まで削ってしまうと、かえって不安を生んだり、判断に必要な情報が不足したりする可能性があります。

重要なのは、情報を単純に減らすことではなく、情報を整理し、段階的に見せ、ユーザーが必要なときに必要な情報へアクセスできるようにすることです。

例えば、最初の画面では要点を示し、詳しい情報は詳細画面で確認できるようにする。
専門用語は必要に応じて補足できるようにする。
入力項目は一度にすべて表示せず、流れに沿って段階的に入力できるようにする。

このように、情報の量ではなく、情報の出し方を設計することが重要です。


まとめ

認知負荷とは、人が情報を理解し、判断し、操作するときに頭の中で処理しなければならない負担のことです。

UI/UXデザインでは、ユーザーが少ない負担で情報を理解し、迷わず次の行動に移れるように設計することが重要です。

特に医療・ヘルスケア領域では、専門用語、検査値、服薬情報、健康データ、注意喚起など、理解に負担がかかりやすい情報が多く扱われます。

また、生活者・患者さんは、不安や体調不良を抱えた状態でアプリやWebサービスを利用することもあります。

そのため、医療ヘルスケアアプリやPHRアプリでは、情報設計、画面設計、UXライティング、アクセシビリティなどを通じて、認知負荷を下げることが重要です。

認知負荷を下げる設計は、単なる使いやすさだけでなく、安心感、継続利用、医療者とのコミュニケーション、健康行動へのつながりを支えるUI/UXデザインの重要な考え方です。


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医療ヘルスケア領域のアプリやWebサービスでは、専門用語、業務フロー、情報の扱い方、生活者・患者さんの理解度や不安を踏まえ、認知負荷を下げるUI/UX設計が求められます。

メディエイドでは、PHRアプリ、患者向けアプリ、医療者向けシステムなどの開発・改善において、医療ヘルスケア領域の背景を踏まえながら、情報設計、画面設計、UXライティング、プロトタイピングまで支援しています。

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