Glossary
「EBM(Evidence Based Medicine)」とは、日本語で「根拠に基づく医療」を指し、医療の意思決定において「科学的根拠(エビデンス)」「医師の経験・知識」「患者の価値観」の3つの要素を総合的に考慮して治療方針を決定するアプローチです。EBMは、1990年代に普及し、患者中心の医療を目指す重要な概念として、世界中で採用されています。これにより、治療の選択が個別の患者に合わせて最適化され、医学の効率性と質が向上します。
従来の医療は主に「医師の経験や知識」を基盤として行われていましたが、EBMは「科学的根拠」を重視する点で新たな方向性を示しました。しかし、科学的根拠は統計的な情報に過ぎず、すべての患者に必ずしも当てはまるわけではないため、患者個々の状況に合わせた柔軟な判断も重要視されています。
「NBM(Narrative-Based Medicine)」は、EBMに対する補完的なアプローチとして1990年代に提唱された概念で、「物語と対話に基づく医療」とも言われます。患者が語る「物語」を重視し、医師がその物語を通じて患者の背景や人間関係、生活環境を理解することを目指します。このアプローチは、単に病気や症状だけに焦点を当てるのではなく、患者の全人的(身体的、心理的、社会的)な健康にアプローチすることが目的です。
NBMの導入により、患者の主観的な意見や生活背景を理解し、より包括的で患者の価値観に即した医療が提供されることが期待されています。
EBMとNBMは、対立する概念ではなく、互いに補完し合うアプローチと考えられます。EBMは「科学的根拠」に基づいて医療を進める一方で、NBMは「患者の語り」を重視し、その人に最適なケアを提供することを目指します。これにより、患者中心の医療を実現し、よりパーソナライズされた治療が可能となります。
NBMの概念に基づいて、患者が自分の体験を社会と共有する動きが活発化しています。かつては患者の「闘病記」などが書籍として出版されることが一般的でしたが、現在ではインターネットやSNSを活用した「患者の語り」の発信が広がっています。これにより、患者の体験がより多くの人々に届き、医療従事者や他の患者とのコミュニケーションが深化することが期待されています。
例えば「患者の語り」をインターネットを通じて社会に還元する試みとしては、以下のようなものがあります。
メディエイドでは、2024年5月に2008年から続けてきた闘病記サイトであるライフパレットをクローズしました。サイト立ち上げ時はまだスマホもない中でインターネットでの患者の語りは非常に先進的な取り組みであったと考えています。
しかしスマホが普及し、さらにはコロナ禍を経て医療DXの普及が見えてくる中においては、患者の価値観も当時とは大きく異なってきていることもあり、このようなクローズという判断を取りました。
しかし私たちは患者の物語を重要な情報資源と考え、次世代の「ライフパレット」に相当する新たなデジタルプラットフォームの構築を検討していきたいと思います。そのためにはUI/UXデザインのプロセスを取り入れて、改めて今現在の世の中に求められる語りを紡ぐ仕組みとは何かをUXリサーチを経ながら考えていきたいと考えています。私どもは、患者自身がデータを管理し、それを医療従事者と安全に共有することができるPHR(Personal Health Record)の延長に次世代ライフパレットはあるのではないと想定をしています。この新しいサービスは、患者と医療者の双方にとって、より使いやすく有益なプラットフォームを目指していけないか、と考えています。
メディエイドではPHRプラットフォーム「LiNQ-CIRCLE|リンクサークル」を独自に構築し、医療ヘルスケア向けの様々なPHRミニアプリをもつPHRアプリ「LiNQ-Palette|リンクパレット」をの提供を行っております。これにより生活者・患者が安心してPHRデータを管理し、そして必要に応じて、医療機関や薬局などの医療ヘルスケアステークホルダーとの情報共有を可能にしています。
さらに詳しいPHRについての解説、メディエイドの提供するサービスに関するお問い合わせは以下からお願いします。
LiNQ-Palette(リンクパレット)のダウンロード
PHRアプリ「LiNQ-Palette|リンクパレット」のダウンロードは、アプリストアから無償でご利⽤いただけます。
PHRについての詳細な解説はこちら
PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)は、生活者・患者が自身の健康情報をデジタルで管理し、必要に応じて医療機関と共有できる仕組みです。LiNQ-PadはこのPHRの活用をさらに促進し、より高度な医療サービス提供を可能にします。
サービスのお申し込み・お問い合わせ
PHRアプリ「LiNQ-Palette」や次世代ライフパレット構築についてのご相談などは、以下のお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。