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かかりつけ薬局

1)かかりつけ薬局

2014年度末時点における薬局数は5万7784軒。従来の薬局は病院の「門前」にひしめき、処方箋を持った患者さんたちが行列をつくるのがなじみ深い姿でした。このような「門前薬局」はその70%を占めるといわれておりますが、厚生労働省は2015年10月、患者本位の医薬分業の実現に向け、かかりつけ薬剤師・薬局の今後の姿を示した「患者のための薬局ビジョン」を発表しました。この中では、門前薬局など立地依存型から脱却し、かかりつけ機能を持つことを打ち出し、具体的な機能として以下の3つを盛り込みました。

  • ・薬情報の一元的・継続的把握
  • ・24時間対応・在宅対応
  • ・医療機関などとの連携

さらに、かかりつけ薬局への再編の道筋では、2025年までに全ての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指し、2035年までには大病院の門前薬局を中心に建て替えなどを契機に、地域に立地を移すことが期待されるとしています。すなわちこの中で、地域包括ケアシステムの一環として、国の方向性が示されたということになります。

2)「かかりつけ薬局」になることで何が変わるのか?

2016年度調剤報酬改定では、この「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、薬剤師が患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で、個々の患者に応じた服薬指導を実施することを評価する「かかりつけ薬剤師指導料」が新設されました。「かかりつけ薬剤師指導料」においては、患者の選択した「かかりつけ薬剤師」が患者さんの同意を得ることで患者さん1人に対して1人の薬剤師に限り次の来局時以降に算定ができます。これにより担当の「かかりつけ薬剤師」は患者さんに対して以下の対応を行うことになります。

  • ・患者さんの全受診医療機関・服用歴などの把握
  • ・24時間の相談応需
  • ・調剤後の患者の服薬状況・指導内容に関する処方医への情報提供

この報酬改定に伴って、患者が「かかりつけ薬局」を、さらには「かかりつけ薬剤師」を選択し、自らの服薬状況を「かかりつけ薬剤師」に一元管理してもらう世界になっていくのではないかと思われます。

3)電子版お薬手帳の活用

また2016年度調剤報酬改定の中においては、電子版の手帳(電子版お薬手帳)についても、紙媒体と同等の機能をもつ場合には、算定上、紙媒体の手帳と同等の取り扱いができるようになりました。現在すでに、スマートフォン等で利用できる電子版お薬手帳アプリは、様々な企業から提供されております(※1)。これらアプリにおいては、クラウド環境上に投薬データを保存できるタイプのものも多く出ており、紙媒体の手帳と比較して、2011年の東日本大震災の時のような万が一の災害の発生時にもデータを参照できるなどのメリットもあります。今後においては、電子版お薬手帳が紙媒体の手帳と同等の取り扱いが認められることで、これら電子版お薬手帳の利用が広まることが予想されます。

また前述した災害時の活用に加え、投薬情報を電子データとして患者が管理し、管理している投薬情報を「かかりつけ薬剤師」に見せることで、他の薬局で処方されていた薬剤と、今回処方された薬剤との相互作用チェックが電子データによって、より漏れなく正確に行えるようになるなど、患者にも大きなメリットをもたらすと思われます。さらに最近では、ヘルスケア機器とブルートゥースなどで連携をし、様々なバイタルデータ(体重データ、血圧データ、血糖値データなど)をスマホ上で保管できるアプリ(※2)も多く出ています。この患者がもつバイタルデータも合わせて「かかりつけ薬剤師」に見せることができるようになることで、より適切な服薬指導が受けられるようになるのではないでしょうか。

(※1)電子版お薬手帳アプリの例

アプリ名 提供元
1 お薬手帳プラス 日本調剤
2 アインお薬手帳 アイン薬局
2 ポケットファーマシー ポケットファーマシー
4 harmo(ハルモ) ソニー
5 日薬eお薬手帳 日本薬剤師会
6 お薬情報玉手箱 日本保険薬局協会

(※2)バイタルデータ管理アプリの例

アプリ名 提供元
1 からだグラフ<体組成・歩数・最高血圧/最低血圧、基礎体温、睡眠時間等> オムロンヘルスケア
2 パナソニック スマート アプリ<体組成・血圧> パナソニック
2 ライフパレット ダイアベティス<血糖値> メディエイド
4 スマートe-SMBG<血糖値> アークレイ
5 myBeat<心拍波形管理> ユニオンツール
6 FitBit<歩数、距離、消費カロリー等> FitBit
7 UP by Jawbone<歩数、距離、消費カロリー等> Jawbone

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