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Apple社は2014年6月にヘルスケア業界への参入を表明。2014年9月にリリースされたiOS8.0においては、健康・フィットネス向けアプリ開発用のHealthKit Frameworkが追加されるとともに、「ヘルスケア」アプリというApple純正アプリが搭載された。
「ヘルスケア」アプリでは、バイタル(血圧・呼吸数・心拍数・体温)やフィットネス(歩数・上がった階数・基礎代謝量等)、栄養、検査結果(血糖値・酸素飽和度等)、身体測定値(身長・体重・体脂肪率等)、睡眠といった一連のデータ管理が可能となっており、①手入力データ、②iPhone上で取得されたデータ(歩数や距離等)、③Bluetoothデバイスから連携されたデータを入力データとして管理することができる。このデータはアプリ間で共通的に利用できるヘルスケア関連用の保存領域(HealthStore)に保存されており、保存されたデータは「ヘルスケア」アプリとHealthKit Frameworkで作成されたアプリで出力することができる。
さらに「ヘルスケア」には、iPhoneが電子身分証明にもなる「メディカルID」という機能があり、これは万が一自分が倒れた場合、医療従事者や現場に居合わせた人が当人の情報(名前・年齢・病気/けが・アレルギー・使用中の薬・血液型・臓器提供・体重・身長・緊急連絡先)を画面ロックされた状態でも参照することが可能となる。
2015年4月現在で、HealthKit Frameworkで作成されたアプリには、「A&D Connect」(エー・アンド・デイ社)や歩数計アプリ「WalkOn」(ニフティ社)などがある。また海外においては、ウォーキング、ランニング、サイクリングの移動距離と移動時間を自動的に測定し、消費カロリーを計算してくれる「Human – Activity & Calorie Tracker」や、ユーザの睡眠サイクルを自動で解析して、眠りの浅い最も目覚めが良い時に起こしてくれる「MotionX 24/7」といったアプリが登場している。これまでのアプリ毎に管理されていたデータがHealtKit対応されていく事によって、健康データを入力する事に特化したアプリや、HealthStoreに保存されたデータを活用したアプリなどが次々と出てくるものと思われる。
なお2015年4月に発売される「Apple Watch」においては、心拍数データを取得することが可能であり、接続されると自動的にHealthStoreに保存される。心拍数計の他、グルコースセンサー(血糖自己測定器)、血圧計、体重計はHealthKitではビルトインとしてサポートされており、「Apple Watch」と同様に接続されると自動的にデータを取得する。今後、Apple社は「Apple Watch」に続いて血糖自己測定器や血圧計なども開発していくものと考えられる。
これまでヘルスケア機器とスマートフォン間は独自の通信仕様でデータのやり取りが行われ、そのデータ仕様も統一化されていない状況であった。Apple社がヘルスケア関連に特化した機能を出したことで、またGoogle社における「Google Fit」の動きなどを見ると、今後はスマホが標準的なヘルスケア・データ収集のハブになるのではないかと考えられる。さらに上記にご紹介したような「メディカルID」のような、画面ロック中でもヘルスケア情報にアクセス可能な機能というのは、電子版お薬手帳などで課題となっている画面ロック解除ができない緊急時搬送時などでの参照にも活用できるのではないかと思われる。
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