Glossary
「ライフパレット(LifePalette)」は、患者が治療に関する満足度だけではQOL(生活の質)は満たされず、精神的な面や生活面の支えがあってこそ真のQOL向上につながるという考えのもとに構想されました。
当時、治療満足度が十分に得られていない疾患領域(アンメット・メディカル・ニーズ)が多く存在し、その中でも特にがん領域における患者の心理的・社会的課題に注目しました。がん患者は治療の副作用や再発への不安、社会生活や仕事との両立といった多面的な課題を抱えやすく、これらは医療従事者が限られた時間の中で十分に支えることが難しい状況にありました。
そのためライフパレットでは、医療従事者が担いきれない精神面・生活面の支援を、患者同士の経験共有やコミュニティの力によって補い、QOLを高めることを目指しました。
先輩患者(すでに病気を経験した人)が、生活面での工夫や闘病中の気づきを日記や闘病記を通して伝える。
複数の治療選択肢からどのように意思決定を行ったのかというプロセスを共有する。
また、同時期に同じ悩みを持つ仲間と出会い、精神的な支えになる。
こうした交流を通じて、当時の医療制度では抜け落ちていた社会的な課題を補うことを目指しました。
ライフパレットでは当時、以下のような機能を提供していました。
日々の出来事や体調を記録できる「日記」機能
日記へのコメントを通じた双方向コミュニケーション機能
個別にメッセージを送るプライベートメッセージ機能
蓄積した日記を束ねて「デジタル版闘病記」を作成できる機能
これらを通して、患者同士(ご家族も含む)が日常的に支え合えるオンライン・コミュニティを実現しました。
ライフパレットは2008年1月にローンチされました。
当時はまだクラウド環境が整っておらず、高コストなオンプレミス環境での運用となりました。
また、蓄積された定性的な日記データを分析・活用するAI技術も未成熟だったため、データビジネスとしての展開も難しく、一度事業を縮小しました。
その後、2017年7月にお薬手帳・バイタル・食事管理などのPHR(Personal Health Record)機能を加え、またSNS機能はグループを複数もつことができるようにした「SNS+PHR版新ライフパレット」としてPHRプラットフォーム上にある患者闘病記サイトとしてリニューアル。
2019年には日本対がん協会さま向けに「がんサバイバーネット」として患者会ごとにオンラインコミュニティを持てるような場を提供してきましたが、2024年3月にサービスを終了し、当社としても2024年5月をもってクローズいたしました。
ライフパレットで蓄積されたデータは、現在もAI研究活用をしております。
たとえば、日記データから副作用を検知するAIの研究など、慶應義塾大学さまと共同研究を継続しています。
またPHRプラットフォーム部分のみを独立させてさらに進化させたのが、現在の「LiNQ-CIRCLE(リンクサークル)」プラットフォームです。
患者が自らの健康・医療データを安全に管理し、必要に応じて医療者と共有できる仕組みへと発展しました。
2008年当時とは社会や技術環境が大きく変わりましたが、メディエイドの理念は変わりません。
患者さんの悩みを患者視点から考え、現代の状況に合った形で「ライフパレットの後継」を再び社会に届けたい。
それが、私たちが今も持ち続けている想いです。
本ページにてご紹介しましてPHR(パーソナルヘルスレコード)とPHRプラットフォーム「LiNQ-CIRCLE(リンクサークル)」については、以下で紹介しています。
▶ PHRプラットフォーム「LiNQ-CIRCLE(リンクサークル)」とは
また患者さん向けコミュニティ構築などのご相談があれば、以下からお気軽にお問い合わせいただければと思います。
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