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オンライン資格確認は、医療機関・薬局の窓口で、患者の健康保険資格の有効性をオンラインでリアルタイムに確認するシステムです。
マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の情報を用いて、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会のサーバーに照会をかけ、最新の資格情報を取得します。
単なる「保険証の有効性チェック」に留まらず、日本の今後の医療DXを支える「デジタルヘルス基盤」として位置づけられています。
従来、医療機関や薬局では患者さんが提示する健康保険証を目視で確認し、その情報を手入力してレセプト請求に反映していました。
しかし、転職などに伴う保険証の切り替え直後や記載内容の誤りによって「資格過誤」が発生し、請求の差し戻しや追加の患者負担につながるケースも少なくありませんでした。
さらに、偽造保険証の問題や、医療費の不正利用リスクも課題とされてきました。
こうした状況を解決し、正確かつ効率的に資格確認を行うために導入されたのが「オンライン資格確認」です。これは医療現場の業務効率化にとどまらず、国全体の医療費適正化にも寄与する仕組みです。
オンライン資格確認は、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会が運営する「オンライン資格確認等システム」(資格情報を管理するサーバー)に対して、医療機関・薬局に設置した顔認証付きカードリーダー、レセコン・電子カルテからアクセスする形体をとります。
オンライン資格確認の流れは以下のようになります。
1)医療機関を受診、もしくは薬局に来局した患者さんは、マイナンバーカードまたは健康保険証を提示します。
2)医療機関・薬局は、その提示された情報をもとにオンライン資格確認等システムへ資格情報を照会します。
3)照会を受けたシステムは、結果(有効な保険者名、負担割合等)を医療機関・薬局の端末へ返します。
4)3においては患者さんの同意に基づき、薬剤情報・特定健診等の情報も医療機関・薬局では取得が可能です。
*マイナンバーカードで資格確認を行う際は、顔認証付きカードリーダーにより顔認証もしくは暗証番号で本人認証を行うことが一般的です。
*レセコンや電子カルテでは、厚生労働省が定める標準仕様のAPIを介して連携することが可能です。
*個人情報保護のため、クローズドなネットワークと厳格な認証・認可の仕組みが採用されています。
オンライン資格確認は、これらの新しい医療サービスを実現するための「本人確認」と「資格確認」の基盤として、極めて重要な役割を担います。
オンライン診療等の実施要件には、「医師と患者の間での身元確認」と「保険資格の確認」が定められています。オンライン資格確認の仕組みを活用することで、これらの要件を確実かつ効率的に満たすことができます。
従来、オンライン診療やオンライン服薬指導の実施時には、患者さんがスマートフォンのカメラ等で保険証の画像を医療機関・薬局に送り、医療機関・薬局側がその画像をみて確認する必要があり、画像の真正性や有効性の担保が難しく、資格過誤のリスクがありました。「マイナ在宅受付Web」を利用することで、患者さんが自分のスマートフォンアプリ等でマイナンバーカードを読み取り、電子署名を付与することで、オンラインでも確実な本人確認が可能になります。
医療機関や薬局は、オンライン資格確認システムのAPIをオンライン診療システムやオンライン服薬指導システムなどに組み込むことで、オンライン診療前もしくはオンライン服薬指導の前にリアルタイムに患者さんの保険資格を自動で確認できます。これにより、無保険者への診療リスクを低減することが可能となります。
電子処方箋は、処方箋を紙ではなく電子的に医療機関・薬局間で連携させる仕組みです。オンライン資格確認の基盤は、この電子処方箋の運用に不可欠です。
電子処方箋の仕組みでは、医師による電子処方箋発行時に、オンライン資格確認で取得した患者の保険資格情報等が利用されます。
また薬局での調剤時には、患者は薬局でマイナンバーカードを提示し、オンライン資格確認を行うことで本人確認をします。薬剤師は患者が提示したマイナンバーカードによるオンライン資格確認をトリガーとして、電子処方箋管理サービスから処方箋情報をダウンロードし、調剤を行います。
オンライン資格確認の導入は、患者さん・医療機関/薬局・国それぞれにメリットをもたらします。
・患者さんのメリット:窓口での待ち時間短縮、負担割合の誤りによるトラブル防止、資格過誤のリスク低減
・医療機関/薬局のメリット:資格確認業務の効率化、請求エラー防止、事務作業の削減
・国・社会のメリット:医療費適正化、不正利用防止、医療情報基盤の整備
これらの効果により、医療現場の信頼性と効率性が向上すると同時に、患者体験(Patient Experience)の改善にもつながります。
オンライン資格確認は、単独のシステムではなく、今後の医療DXにおける「認証・認可基盤」という位置づけとなります。
今後のオンライン診療システムやオンライン服薬指導システム、電子カルテ、レセコン等においては、オンライン資格確認システムとのAPI連携が標準的に求められます。
オンライン資格確認の導入を起点とし、電子処方箋、オンライン診療、さらにはPHR(パーソナルヘルスレコード)活用へと拡張することが重要です。
オンライン資格確認は、介護保険や予防接種、自治体の医療費助成制度など、様々な情報連携のハブとなることが構想されています。医療ヘルスケア領域の新規ビジネスを検討する上で、その動向を注視する必要があります。
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